道具とともに受け継がれてきた、村のかしわ飯。
共有
みんなで囲んだ、村のごちそう
菰野町では、田植えや収穫、道づくりなど、村の共同作業のあとに「行事食」として振る舞われる料理がありました。
そのひとつが、「かしわ飯」。
鶏肉やごぼう、にんじんなどを入れて炊き込むこの料理は、関東では「五目飯」、関西では「かやく飯」とも呼ばれています。今では家庭料理として親しまれていますが、もともとは村人たちが集まる特別な日に作られていたごちそうでした。
昔の村では、道づくりや堤防の草刈り、ため池の清掃など、暮らしを支える共同作業が数多く行われていました。作業のあと、みんなで同じ釜のごはんを囲む時間は、労をねぎらい、人と人とのつながりを深める大切な場でもあったそうです。

「かしわ」に込められた意味
かしわ飯に使われる鶏肉は、かつては特別な日にいただく貴重な食材でした。
「かしわ」という呼び名には、羽の茶褐色が柏の葉に似ていることや、“柏の葉は新芽が出るまで落ちない”ことから、縁起のよい食べ物として親しまれてきた背景もあります。
何気ない郷土料理の中にも、その土地ならではの風習や、人びとの願いが込められていました。
はそりで炊く、村のごはん
そして、このかしわ飯を炊くために使われていたのが、「はそり」と呼ばれる道具でした。
大きな釜でたくさんのごはんを炊き、みんなで分け合って食べる。そこには、料理だけではなく、人が集まり、助け合いながら暮らしてきた村の風景が映っています。
土地に根づいた食文化は、道具とともに受け継がれてきました。
どんな道具で炊き、どんな器によそい、誰と囲んで食べていたのか。
昔ながらの料理をたどることは、その土地の暮らしや、人びとの営みを知ることでもあるのかもしれません。
